2017年08月29日

欧州見聞録7日目前編〜ドバウィと戯れる無職〜



自分の競馬史の中でターニングポイントになったと思われる出来事は数回ある。

どれも一生忘れられない出来事で、今後自分が競馬していく上で忘れてはいけない出来事だと思う。

今回のニューマーケットで過ごした3日間は、自分の競馬史だけではなく、今後生きていく上で、大きな3日間だったと言える。





さて、7日目。





1日目
欧州見聞録1日目〜北京は広いよどこまでも〜
http://ouma-keiba.seesaa.net/article/452476475.html

2日目
欧州見聞録2日目〜無職inパリ〜
http://ouma-keiba.seesaa.net/article/452476967.html

3日目
欧州見聞録3日目〜ペリエという日本人〜
http://ouma-keiba.seesaa.net/article/452691011.html

4日目
欧州見聞録4日目〜アレ・クリストフちゃんとの邂逅〜
http://ouma-keiba.seesaa.net/article/452846110.html

5日目
欧州見聞録5日目〜パリの空の下、無職は歩く〜
http://ouma-keiba.seesaa.net/article/453052285.html

6日目
欧州見聞録6日目〜競馬の聖地・ニューマーケット〜
http://ouma-keiba.seesaa.net/article/453056874.html



6日目分かったことは、『ユーロスターは神尾米を知らない





朝6時。

聖地・ニューマーケットで興奮したのか、目覚ましなしで飛び起きた無職。

ホテルのフロントの女性が夜、パスタを作ってくれて、酒飲んだ割に目覚めバッチリ。これが聖地の為せる業か()


イギリスのシャワーは総じて使いにくいと思う。日本のシャワーの3倍近くある大きさで、扱いにくいし、お湯が出しにくいし、適性な温度調節が難しい。

トイレの水圧もそう強くないし、改めて日本は優秀だと感じる朝。



フロントの女性『ウォーレンヒルに行くのね?』
無職『イエスタカスイエス!』
フロントの女性『素晴らしい経験になると思うわ!』

これに近い会話をして、いざ、皆口を揃えて素晴らしいと言う、朝のウォーレンヒルへ。



朝7時。まだ眠っている街を出て、隣の調教場へ歩く。


DFuZ3VuXkAE-3zw.jpg


ニューマーケットと郊外を結ぶ大動脈・バリーロード。
このバリーロード沿いに、ジョン・ゴスデン、ルカ・クマーニ、サー・マーク・プレスコット、ロジャー・ヴァリアンといった大厩舎が立ち並ぶ。

厩舎街からウォーレンヒルに入るためには、バリーロードを渡らないといけない。

それがこの写真の光景。

馬に乗ったライダーたちが手を挙げながら渡っている。
不思議な光景だ。
日本でも見られるとはいえ、こちらは何十頭も一気に渡る。壮観。

バリーロードの交通量は少なくない。しかし馬優先、そのため車は渋滞する。
これがニューマーケットの朝か。



DFugOg1XkAAQero.jpg


明るい時にまた見ると、広い。広過ぎるぞニューマーケット。
調教コースで地平線が見える。日本とはスケールが違う。


DFugNXMWAAAaIyU.jpg


DFugKskXgAATatB.jpg


20頭くらいの集団が丘の手前まで歩いてきて、1頭ずつ、丘を上がっていく。
そして地平線に溶けるように、消えていく。

その姿は神秘的ですらある。


何キロにも渡る丘を上り、帰りは森林の中を通り過ぎてまたスタート地点に戻ってくる。
これだけで相当な運動量だろう。


日本のように引っ掛かっている馬はいない


多少チャカついても、口笛ですぐにおとなしくなる。
この広い環境と、たまに通る車の音以外聞こえてくるのは馬の息遣いだけという静かな環境の影響だろうか。
時間の流れが遅く感じる


日本の馬はトレセンでかなりの割合で胃潰瘍になるという。
強く攻める影響もあるだろうし、ハコが狭いことも大きく影響しているのではないか。

それくらい英国の馬はおとなしい。見るからにノーストレス。


DFuhQrvXYAQ56si.jpg


DFuhOACWsAE7Lmj.jpg


ライダーたちはみんな笑顔。これが英国か。


DFuiV5CXoAAJIf5.jpg


通りがかったゴドルフィンの女性ライダーが『きれいに撮れてる?』とサムズアップしてくる。
これが英国か。

ゴドルフィンブルーが広大な空と、広大な草原に映える。
あのゴドルフィンが目の前を通っていく現実感のない現実を目の前にすると、それだけで興奮する。
この時間が永遠に続いてほしいと本気で思った。


そして気付く。
女性ライダーが本当に多い。10人に3人くらいの割合で女性ライダーだったのでは。

日本と違うことが多過ぎて、でもこれが英国の普通であって、今までの自分の普通は何だったんだろう、そう思ってしまう。


DFuhPTGXUAAxa2G.jpg


朝のニューマーケットは素晴らしい

そうホースマンも、ニューマーケットの人々も口を揃えて言う理由がよく分かった。

その圧倒的スケール、広大な光景はもちろん、おとなしい馬たち、そして笑顔のライダー、この時間、この空間に、日々体験できない時間の流れが確実に存在した。

これが競馬の生まれた街、ニューマーケットか。



ホテルに戻り、フロントの女性が言う。
『朝のウォーレンヒルは最高でしょう?』

最高です。こんな光景見せてもらえるだけで幸せです。

ライダーは最高の気分なんだろうなぁ…帰り、青空の下、眼下に広がるニューマーケットの街を見ながら坂を下りてくる…
うらやましくなったね。





ホテルの皆様のご配慮でタクシーを呼んでもらい、この日のメインイベントへ。


ニューマーケット中心部から森の中を通るダッチェスドライヴをタクシーで10分余り。


DFvUwnYXUAEZQps.jpg


DFvG8KAXYAA62iR.jpg


ダルハムホールスタッド


ドバイ首長・モハメド殿下の別荘兼ダーレーグループのスタリオンだ。
個人の馬の勉強なのに快くオファーを受けていただき、ダーレーグループの皆様には感謝の言葉しかない。


綺麗で22世紀的なフロント。飾られている無数のトロフィー。
今年のロッキンジステークスの真新しいトロフィーや、ダーレーの名種牡馬たちが掴んだリーディング記念のカップ。
社台スタリオンのクラブハウスもオシャレだけど、ダーレーはその遥か上を行っていた。



案内してくださったのは、スタリオンのMr.ペルシー
陽気な方で、やや緊張していたこちらの空気をすぐに和ませてくれた。ナイスガイだ。



林の中を抜け、馬房の前を通り過ぎ、放牧地へ。


広い。


隣に100mくらい、赤茶色の屋根の建物が並ぶ。

無職『あの家なんですか?』
Mr.ペルシー『あれがモハメド殿下の別荘です
無職『(大き過ぎてどこからどこまで別荘なのか分からん…)』
Mr.ペルシー『素敵な家でしょう?』
無職『ヤー(どこまでが別荘か分からん…)』




放牧地の手前で、こちらに1頭、黒に近い鹿毛の馬が歩いてくる。
なんだこの幅は…今まで見たことのない体型。そう、例えるなら重戦車。



DFvMweKXgAEzXqj.jpg


ゴールデンホーンです


Mr.ペルシー、すまん、これは馬か?
雄ライオンに近い。
深い踏み込み、圧倒的なオーラ

腰から後ろのあまりの力強さに、Mr.ペルシーに思わず聞いてしまった。


『これは馬ですか?』

『馬だよ!(笑)』


そうか、馬か。


凱旋門賞を圧勝する馬っていうのはこういう馬なんだな。
これは種牡馬として失敗することはたぶんありえない。それくらい圧倒的なオーラを放っていた。ダメだよ、スタリオンに馬以外の生き物置いちゃ。

日本のほぼ全てのスタリオンに行って、ほぼ全ての種牡馬を見たことがあるけど、こんな馬いないぞ。




そんな感じでゴールデンホーンに構っていたら、目の前の放牧地の奥でのんびり草食んでた鹿毛の馬が、こちらに猛ダッシュしてきた。

一瞬の出来事だった。

一瞬で最高速に到達するその瞬発力。スタートした瞬間、馬が飛び上がっていた。筋肉の収縮がスローモーションに見えた。こんな光景は初めてだ。


まーた猛獣か。このスタリオンは猛獣しかいないのか?

そう思っていたら、Mr.ペルシーが言う。


DFvNeT6XkAEerG8.jpg


彼がドバウィです

ドバウィ?ライオンじゃなくて?これがドバウィ?本当?

なるほど、確かに毛色はドバウィと一緒だ。


こちらにやってきたドバウィと、ゴールデンホーンがにらみ合っている。

十数秒だったかな。


自分の競馬史でこれほど貴重な十数秒があっただろうか。偉大な馬同士がにらみ合っている。


種牡馬はプライド高いと言うし、それは万国共通なんだろうなぁ…


そう思ってたら、こちらが歩くと、ドバウィがついてくる。

『彼は構ってほしいらしい(笑)』なんだ、ただの構ってちゃんか。

ゴールデンホーンと別れ、放牧地沿いを歩くと、それに合わせてドバウィがついてくる。


いかん、かわいい


DFvNeTdWAAAIJJJ.jpg


かわいい。柵の間に頭をねじ込んで、何とかして甘えてこようとする。かわい過ぎかお前。


ゴールデンホーンを前や後ろから見ていたことで、Mr.ペルシーが口笛でドバウィを誘導し、ドバウィを前からも、横からも、後ろからも見せてくれた。
ここまでしてくれるのかダーレー…
そして口笛だけでこんなことできるMr.ペルシー…すげぇ…


ドバウィの強調点は色々あるけど、前がスゴい。
発達した筋肉と、深い胸前。

ダーレーのありがたい点は、これを筋肉を指しながら1つ1つ説明してくれること。

こっちは英語できない。でも1つ1つ、ゆっくり丁寧に説明してくれるからありがたい。
『競馬用語は世界共通だから何とかなるよ』と日本で言われていた。
本当だ、何とかなる。


ゴールデンホーンとはまた違う。勉強になる。勉強になり過ぎてどうしよう。

今年の2月にドバウィの子どもマクフィを北海道で実際見ている分、その時撮ったマクフィの写真と比べながら見ていたら、マクフィとドバウィの違いまで教えてくれるありがたさ。

ああ…ダーレー…ありがてぇ…

一気にダーレーのファンになってしまった。



教えてもらっている間も、柵の間に顔をねじ込んで、必死にこちらに構ってもらおうとするドバウィ。
柵VSドバウィ、見応えがあった。



この時まだ俺は知らない。



ダルハムホールスタッドにはドバウィを超える構ってちゃんが存在することを。





書くこと多過ぎ!


後編に続く!
posted by cris at 18:31| Comment(1) | 海外見聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして
ゴールデンホーンとドバウィのにらみ合いですか、そんなシーン見られたとは物凄く羨ましいです
というか全体的に羨ましいイベントばかりですね……一度は自分も行ってみたいなと思いました
Posted by CBulkAria at 2017年08月30日 08:49
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: