2017年08月31日

欧州見聞録7日目後編〜英国が誇る構ってちゃん・ニューアプローチ〜


どこでもドバウィやフランケルについて聞かれますが、とりあえず見学する時は絶対アポをとりましょう。

今回はちょっと頑張ってお願いしたのが効いたのか、オファーの出し方が良かったのか、いい勉強をさせてもらった。

毎回こうやってオファー受けているのかは存じ上げないです。




さて、7日目後半。




1日目
欧州見聞録1日目〜北京は広いよどこまでも〜
http://ouma-keiba.seesaa.net/article/452476475.html

2日目
欧州見聞録2日目〜無職inパリ〜
http://ouma-keiba.seesaa.net/article/452476967.html

3日目
欧州見聞録3日目〜ペリエという日本人〜
http://ouma-keiba.seesaa.net/article/452691011.html

4日目
欧州見聞録4日目〜アレ・クリストフちゃんとの邂逅〜
http://ouma-keiba.seesaa.net/article/452846110.html

5日目
欧州見聞録5日目〜パリの空の下、無職は歩く〜
http://ouma-keiba.seesaa.net/article/453052285.html

6日目
欧州見聞録6日目〜競馬の聖地・ニューマーケット〜
http://ouma-keiba.seesaa.net/article/453056874.html

7日目前半
欧州見聞録7日目前編〜ドバウィと戯れる無職〜
http://ouma-keiba.seesaa.net/article/453056927.html



7日目前半分かったことは、『ドバウィと実家の犬は仕草が一緒



どこまで書いたっけ…

ああ、ドバウィと遊んだ話まで書いたのか。

本当にドバウィは人についてくる。賢いんだろうし、人に対しての警戒というものが皆無なんだろうな。

まあこっちの馬はみんな人に対して何ら警戒心がないんだけど。




ドバウィの次に見せてもらったのは、ファー。


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ピヴォタルの代表産駒。
日本ではG1で2着が多い馬、フランケルに完敗した馬として知られているか。

いや、フランケルに完敗したとはいえ、これはいい馬だよ。

Mr.ペルシーは言う。
胸前の鋼のような筋肉、これはピヴォタルの特徴だ』と。

なるほど、確かにそうだ。
なんと言えばいいかな。筋肉を胸前にギュッと凝縮した感じ。

ディープインパクトがピヴォタルと相性いいけど、配合バランスに加えて、こういう身体的な部分でバランスが取れるからなのかもしれん。

ファー自身はドイツ血統。母父がジャパンCを勝ったランド。
日本にいるランド持ちたちとは体型がまたちょっと違うような。
あまりランドの影響はないのかな。それとも日本にいる母父ランドたちが、あまりランドの影響出てないのかな。

こういうことを考えながら見ていくのは楽しい。



さて、左隣の放牧地へ移動。



Mr.ペルシー『グッドボーイだ』
無職『?』


突然、左隣の放牧地の、奥のほうにいた栗毛の牡馬が猛然とこちらにやってきて、柵の手前で急ブレーキ、柵の間に顔を入れてくる。


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Mr.ペルシー『ハハハ!グッドボーイ(笑)

無職『(まーた構ってちゃんか…)』

Mr.ペルシー『彼はニューアプローチ。グッドボーイ、グッドホースだ!



これがね、ホント、Mr.ペルシーの言う通り。いい馬なんだ。

いやもうここまでゴールデンホーンだのドバウィだの見せられてるから、感覚がマヒしているのもある。
でもいい馬よ、彼。

踏み込みが深く幅のあるゴールデンホーン、胸前が発達したドバウィとはまた違う。

ニューアプローチはバランスがいい

そしてかわいい


Mr.ペルシーに『グッドホース!』と伝えると、嬉しそうにうなずく。
普段からこういうキャラなんだろうな、ニューアプローチは。

『ベストアプローチは元気か?』と聞かれる。元気です。気にされてたぞ、ベストアプローチ。


それから数分、ニューアプローチとのふれあいタイム。

こちらの口笛に反応して、構ってアピールをするニューアプローチ。



この子本当にG1を5勝してる英国ダービー馬?



そのうち、担当者がニューアプローチを馬房に戻すためやってきた。柵を開けて、中に入る。
うん、ここまでは日本と一緒だ。

担当者が口笛を吹く。
ニューアプローチがホイホイ担当者に近寄って、自分で頭を下げて、頭絡を掛けられる。


??????????


ペットの犬かよ…


ニューマーケットでは、ペットの犬と猫と、馬の扱いが一緒
日本でそう教えられてニューマーケットに来た。

目の前に広がる光景は、この言葉の通り。
400年の競馬の歴史がある国は何から何まで違う。


馬房に戻そうとニューアプローチを引っ張る担当者。
こちらに構ってほしくて必死に帰りたくない素振りを見せるニューアプローチ。

いいから帰りな、もう分かったから、担当者さんも困ってるでしょ。




放牧地1つの大きさ自体は、日本だとブリーダーズスタリオンの、前にヴァーミリアンやダンスが使ってた放牧地とほぼ同じ、気持ち大きいかな〜というくらい。

でも周りが森林で、そもそも他に何もない大自然。
静かな環境で、栄養価の高いニューマーケットの芝をのんびり食べて暮らせば、種牡馬でもここまで落ち着くもんなんだな。


日本を見てみろよ。
オルフェーヴルなんか、牧柵に止まったハトを襲撃してるぞ




続いて厩舎の馬房の説明。

ちょうどセポイやヘルメット、イフラージはオーストラリアにシャトル中。
セポイ見たかったけど、こればかりは仕方ない。


ポエッツヴォイスの馬房を見て、その隣が、…あれ?空いてる。
でも馬房が塞がれているわけではない。

馬房の隣に『ファンタスティックライト』と書いてある。ここは彼の馬房か。

Mr.ペルシーは言う。
『彼は今アメリカで過ごしている。しかしここは彼の部屋だ。偉大な馬の部屋だ。帰る場所をいつも用意している。』


うーん、イギリス。

馬に対するリスペクトは日本もあるけど、偉大なレジェンドたちが英国を離れても、彼らは敬意を忘れない。





そして厩舎の脇を見ると、無数のお墓が並んでいた。20個くらいだったかな。

墓に刻まれている名前を見ると、


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マキャヴェリアン。日本にも強い影響を与えている。
ヴィブロスの話にもなった。


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シングスピール。
ムーンバラッドの次にMr.ペルシーの口から出てきたのは、アサクサデンエンだった。
アサクサデンエン、外国人が発音すると、『アサクサデン エン』なんだな。
学んだ。


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ダーレーのレジェンド。『ライオン』とも評された、神の子・ラムタラ。
ちゃんと手を合わせて、お墓参り。
彼らが日本競馬に与えた影響は計り知れない。




そして、墓地の真ん中、厩舎を見渡せる位置に、このお墓があった。



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ダーレーグループの最高傑作、ドバイミレニアム

ダーレーの後輩たちが暮らす馬房を一望できる場所に、伝説は静かに眠っていた。



『彼は最高の馬だった。しかしグラスシックネスで亡くなった。あそこにいるドバウィは奇跡だ』

ドバウィが馬房から顔を出しているのを見ながら、Mr.ペルシーは言う。

『ドバウィ、マクフィ、モンテロッソ、ポエッツヴォイス、ポストポンド…ドバイミレニアムの夢は未来へ続く



ドバイミレニアムのお墓の前で、ドバウィを見ながら、ダーレーのドバイミレニアムに対する想いを聞き、『ドバイミレニアムの夢は未来へ続く』と言われたら、そりゃ自然と涙が出そうになるよね。

ドバイミレニアムを失った時のダーレーの喪失感は計り知れないものがある。
担当者、そしてダルハムホールスタッドのスタッフ全員が悲しみにくれたという。

そんな中、残された数少ない産駒からドバウィを生み出し、血を繋げる、ここまでのダーレーの並々ならぬ情熱に、ただただ敬意を表すばかりだった。



Mr.ペルシーは1つ1つ、丁寧に、筋肉の付き方や血統の特徴を、馬を色々な角度から見せながら教えてくれた。
ただただ感謝するばかり。
また1つ、欧州でいい出会いをした。

感謝のお土産を渡すと、Mr.ペルシーは喜んで、ダーレーのキャップをくれた。

『ダルハムホールスタッドはいつでもあなたを歓迎する!』と言われ、Mr.ペルシーと固い握手を交わした無職。

本当にありがとうございました。オススメされたアイルランド、いつか必ず勉強に行きます。







ダルハムホールスタッドを離れ、ニューマーケットに戻り、競馬博物館でピヴォタルの等身大の像を見たり英国競馬の歴史を眺めてお勉強。

売店では、正面にエリザベス女王と馬のツーショットの絵ハガキが売ってある。

さすが英国だ。




時間もあったし、開催ないけどニューマーケット競馬場の見学に行くことを思いついた無職。

地図上で見てもそう遠くないし、こら歩いていけるな。


フツーに遠い


開催日はバスが出ているものの、この日は開催がない。

歩いていると、ニューマーケット競馬場の入口に通じる道に到着。

道の手前の豪邸が売りに出されていた。ここに住みたくなる。近所にスーパー?そんなものはない。




競馬場に繋がる道の脇に看板があった。

『ここは馬の調教場です』


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ごめん、どこ?

さすがに雑過ぎない?



右手の草原にも、同じように調教場と書かれた看板が立っている。
こちらには色々調教コースの説明が書いてある。


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ごめん、ゴールどこ?

終点が見えない。
さすがに雑過ぎない?


調教場で、フツーに近所のおばちゃんが犬を散歩させている。
1人どころじゃない。15人くらいいた。

みんな自由に犬を散歩させている。


よく見ると調教コースのど真ん中で犬が寝ている


なんという国だ。
日本だと栗東のCWコースの真ん中に犬が寝ているようなもんでしょう?



しかし競馬場が見当たらん。スタンドは見える。コースの場所が分からん。

近くで犬の散歩をしていたおばちゃんに聞いてみる。


無職『競馬場のコースどこやねん?』
おばちゃん『あそこよ!』



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どこだよ。




このあたりで、もうニューマーケットでの出来事を自分の常識の中に留めようとする行為を諦めた。



しかしこちらはよく雨が降る。

こんなに晴れてるのに、10分後フツーに雨降ってきた。

しかし調教場のど真ん中でお昼寝を続行する犬
散歩を続行するおばちゃん


これが英国の日常か。







夕方。といってもこっちはもう19時過ぎか。

またウォーレンヒルに来てしまう。

何度でも来たくなる、ここはそういう場所。




1人、調教場のど真ん中に座って、地平線を眺める。


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競馬の生まれた場所で、今まで自分が見たことがない光景を次々に目の当たりにした1日。

自分が競馬についてまだ何も知らなかったことを改めて感じる。

そして『若いうちにニューマーケットに行きなさい』という日本のホースマンの皆さんの言葉のありがたさを改めて感じる。

今までも、そしてこれからも競馬を仕事としていく上で最も大事な要素の1つである人間と馬との関係性を、競馬の生まれた国で見て、学ぶ。

俺はこれを見て勉強するために、遠くイギリス・ニューマーケットまで来たんだな。

皆さんが言いたかった光景、空間がここにあった。


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広大な空の下で、陽に照らされた草原をただただ眺めていた。

まだ競馬始めて十数年だけど、もっと早くこの光景を知りたかった。

自分の停滞する競馬観、そして自分の常識が、この光景を見ているだけで壊れていくようだった。







ウォーレンヒルを後にして、夕食を食べに、ホテルの向かいにあるパブへ。

この国は本当にパブが多い。

最初は緊張したものの、慣れると全然大したことはない。

そして英国のエールが実においしいのである。アルコール度数がビールほど高くないこともあり、飲みやすい。これはイケる。


1人でエールをグビグビやってたら、隣の席で数人のお兄ちゃんたちが飲み始めた。

ちょっとして、その中の一人が声を掛けてくる。

お兄ちゃん『どこから来たんだ!』
無職『としまくからうまのべんきょうにきました』
お兄ちゃん『日本人か、俺たちはゴスデン厩舎で働いているぞ』


名門じゃねーか…


最多賞金獲得調教師にも輝いたことがあるジョン・ゴスデン厩舎と言えば、ナサニエルや、2日後に控えたキングジョージに出走するジャックホブスの管理厩舎でもある。


『ジョン・ゴスデン厩舎は日本でも有名です!』と言いながら盛んにゴスデン厩舎を褒めたら、エールをおごってくれた。

優しいなゴスデン厩舎のスタッフ。


お兄ちゃん『キングジョージに行くのか?』
無職『行くやで』
お兄ちゃん『あれは素晴らしいレースだ。誰を買うんだ』
無職『ジャックホブスやで』
お兄ちゃん『ジャックホブスはやめておけ、乗ったがエネイブルのほうが強い


マジで?ジャックホブスより3歳牝馬のほうが強いの?てか乗ったの?


お兄ちゃんは続けて言う。

エネイブルはスーパーフィリー!
エネイブルは毎日強くなる!
彼女は本当に強い!



そんなにか。

確かにキングジョージで1番人気になりそうな勢いだけど…

いかんせん信じがたかったけど、お兄ちゃんたちの口調はアツい。それくらい強いんだろう。





この言葉を聞いた40時間ちょっと後。



無職はアスコット競馬場で彼らの発言は正しかったことを知る。
posted by cris at 06:19| Comment(0) | 海外見聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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