バルセロナがマンチェスター・ユナイテッドを3-1で下して優勝。
実にドラマチックな、鮮やかで芸術的なフットボールを見せてもらった。このチームのファンをやってていいところは、毎回更に面白いフットボールがあるのではないかと思わせてくれて、それを実際見せてくれるところ。
今のバルササッカーは中盤が完成されて、とにかく中盤で作る。メッシが一列下がることにより、パスの起点が増える。
対して、マンUの考えた作戦はラインを崩さず、中盤のスペースを埋める、という作戦をとる。確かに効果的であり、ヴァレンシアのような動ける中盤がいるチームだからこそ成立する作戦だった。
が、バルサはその上を行った。要は、マンUがタテのサッカーを施行し、横を封じようとしただけ。タテに通すための各プレーヤーの個々の動きがシビれる。
バルサの1点目。シャビがペドロにラストパスを通したシーン。マーカーを振り切る為、一瞬接近して離れるペドロの動き、ペドロの離れるタイミングを作り出したメッシの切り込み、そしてそのプレーが起きると想定したうえでのシャビのスルーパス。濃密な1秒間だったなぁ…思わずえぇぇぇと奇声を発してしまった。
その後のペドロのフェイクも見事だったけど。
バルサの2点目。メッシのミドルシュート。ほんと、あそこしかないというところ、ゴールキーパーが一番反応しにくいところ。そのシュートする間を作るためのビジャの外への張り出し。たぶんにキャリックを外に出したいイメージだったんだろうけど、メッシが突いたのはそんな小さなスキ。それを突けるから2年連続バロンドールなんだがね。
リオネル・メッシの凄いところは、その決定力、一瞬でトップギアに入るスピード、この2つ。だけでなく、中盤に絡めるパサーとしての素質、ポジションを見つけられる視野の広さ。1人で試合の局面を変えられる選手ってのは世界でもほんの一握り。その中でも特別な存在であることは、見れば分かると思われる。
バルサの3点目、ビジャのミドル。これはコメントなしでいいでしょう。トップストライカーでしか決められないところ。スペイン代表になるにはこのくらいの技術は必要か。ボール1個分のスペースにミドルを打ちこむとか、凄すぎる。ファンデルサールはこのシュートを止められなくても、なんの責任も無い。これを止められるキーパーは、現状いない。教えてほしいくらい。ノイアーでも指先がカスるかどうか。最高のシュートだった。
マンUのサッカーに欠点はなかった。が、欠点を補うだけのサッカーは後手後手に回るだけ。ファーガソンは現状として、完璧な対策を練った。実際、序盤はそれでなんとか対応できてた。でも、なんとか、では無理なんだな今のバルサは。プレミアらしいロングボールを使った肉弾戦ではバルサに勝てない。それを考慮した上での作戦だったはずなんだけど、バルサの中盤の創造力に勝てなかった。
今のバルサを止めるためにはどうすればいいんだろうね。とりあえずイニエスタ、シャビを止めるのが先決なんだろうけど、イニエスタを封じた決勝はシャビが活きた。どちらも封じるのは不可能?なら縦パスを通さないために内を固める?そうするとサイドバックのダニエウ・アウベスの上がりからのサイド攻撃が来る。
もうさ、バルサに勝つなら14人くらいで相手しないと無理かも。それでもバルサが勝ってしまいそう。そのくらい今のサッカーは芸術的で、欠点がほとんどない。打ち合いに持ち込むという手はあるけど、いくらいいアタッカーを揃えても、バルサ自体もメッシ、ビジャ、ペドロがいる。こういうリアルウイイレみたいなチームの監督は大変だろうね。ウイイレでもできないぜこんなサッカー。
今回の試合も十分スペクタクルだったけど、来季はもっと凄いサッカーを見せてくれる気がする。毎年そういう期待を掛けて、実際応えてくれるのがバルサ。
そして12月に日本に来るバルサ。観に行くしかないでしょう。世界で最もワクワクするフットボール。それ見せてくれるだけで、俺はもう何もいらん。
次の興味はバルサVSポルトのスーパーカップ。今のバルササッカーに、天才ビラス・ボアスがどういう対策を練ってくるか。
とにかく、フットボールが面白すぎる。